こんな大変な時に、夜な夜な歌詞を何度も書き直したりしていて馬鹿じゃないのか...と自己嫌悪に陥りながら。私は東京在住ですが、たぶん私自身あの時、精神的に被災してしまっていたのだと思います。東京中がそんな空気でした。
どうやって作ったのかはよく覚えていないのですが、何日もまともに眠れていなかった気がします。やっと少し眠れることが出来たある朝、気づくと完成した"桜言葉”がテーブルの上にポンと置いてありました。この曲を自分で動画に撮って、ひっそりとインターネット上にアップしました。
有り難いことに、少しずつ「"桜言葉"を歌いに来てほしい」という依頼を頂くようになりました。東京だけでなく、東北の方々からも。海外はパリからも。募金も集まり、実際に復興の為に使ってもらうことも出来ましたし、ご縁あって繋がった方々とこれからも出来ることを続けていこう、と話しています。
でも実は、私はこの曲が「復興応援ソング」と紹介されることに対して少し抵抗がありました。自分は全然しっかりしていないし、人様を応援出来るようなチカラもありません。何より、被災された方々のほんとうの苦しみや悲しみを知りません…。今でも時々、歌う時に戸惑ってしまうことがあります。
震災から3年が経とうとしている今、やっとこの曲をCDとしてカタチに残そうという気持ちになりました。どうして突然そう思ったのかは、わかりません。”今”残さなきゃ、と思いました。私にとって、作詞・作曲、歌うことは、自分自身が前へ進むための手段なのかもしれません。それでも実は、CDを制作している間もずっと戸惑いがありました。もしかしたら、これからもずっとそうなのかもしれません。
そんな私に勇気をくれたのは、協力してくれる方々や、応援してくれる方々でした。ほんとうに信じられない程のチカラを、みなさん私にくれました。その恩返しを、自分の走れるペースで、少しずつしていけたら、と思っています。
感謝をこめて。
2014年1月 荒尾のりこ